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(1) SARTは極めて高度な電子回路技術を用いているので、電源系統以外の内部の回路の故障が発生した場合には、製造メーカ以外では修理は不可能である。
(2) また、SARTは船舶搭載中の大きな人的過失や異状な環境的要因以外では不具合を生じることはほとんどないと考えられるので、それを考慮すると、詳細な検査よりもレーダー信号を検知した後、SART信号を発射するかどうかということを確認できるような点検方法が効率的である。
したがって、現場での整備点検は簡便な点検装置での良否の判定が適当である。
(3) 整備点検時には、電池の有効期限の確認、コネクタの接触状況および防湿処置など限られた範囲の作業を慎重に実施した方が良い。
1.4.2 整備施設及び性能試験器(測定器)
(1) 整備施設前項の注意事項でも述べた通りSARTは救命用無線設備であるので、原則として遭難時以外の電波の発射は捜索機関の本来の活動を混乱させることになり、厳に慎まなければならない。従ってSARTの整備点検は指定された施設(シールドルーム)内で行う事を原則とする。
一方SARTが使用する電波の波長(3?)は短く光に似て反射するので、整備点検におけるSARTの送信出力や受信感度などの計測は、電波の反射しない空間(電波暗室)で行う必要がある。反射の多い空間での測定器での読取値には数倍のエラーがあることに注意を要する。
(2) 性能試験器(測定器)
SARTの性能の計測には多種類の高価なマイクロ波の測定器が必要であるが、比較的に安価な専用の測定器が開発されている。
2a. SARTチェッカー
乾電池を電源とするビデオムービー程度の大きさのもので、1m程度の指定距離でSARTに対向させチェッカーの引金をピストル式に引いて、内蔵のスピーカーが鳴れば定性的にSARTの送受信機能の合否の判定ができるようになっている。

 

 

 

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